理想

勝気な私はどうしても、彼女の鼻をあかしてやりたかった。
「今から行っていい?」。
湿っぽい彼の声。
あの昼以来、ずっと逢瀬を重ねている。
人のダンナ様を盗るなんて。
私は唇を噛みしめた。
でも、頭とは体は裏腹だった。

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聖母マリアの憂鬱

おかしい。
彼は絶対に私を好きなはず。
それどころか狂おしい愛すら抱いているとみた。
この私の目に狂いはない。

自分史の精度の高い統計にも、彼は見事に合致した。
体育会系、知的、真面目、誠実、清潔感溢れ、それにちょっとシャイで年長者からの受けがいい。

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偽物

悲しいかな、お妃の端正な造りの顔は今やすっかり醜い。
直視できないほどに、美貌が憎悪に毒されている。
わたしはきっぱりと毒りんごづくりには協力できないと宣言した。
すると、お妃はにやりと笑い、射すくめるような笑みを返してきた。

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